【Music】”Slaphead Faun / Karsten Pflum”

Karsten Pflum.jpg 「ああ、これだ」という音を探す旅は、言うなれば砂浜で美しく透き通った桜貝を探す行為に近い。もう、それは気の遠くなる様な時間をかけて丹念にゆっくりと砂を探りながら進み、その片鱗の匂いを指先とその目で探って行く訳だ。もちろん、その行為は大変な労力と時間を伴うのだが「これだ!」と思えるその宝を掘り当てた時に喜びは、計り知れない。
 僕は、GOA TRANCEのDJとしての名前の方が先行しているけど、ラウンジやCHILLOUTのDJとして活動して居た時期も結構長い。というか、今でもオファーがあればやりたいなと思うし、龍も大きくなって来たのでゆったりとした場所で「そういう音」に囲まれたDay Partyなんかもやりたいなと思っている。
 さて、今僕はTIRAKITAのCDのバイイングとレビューに関わらせてもらっている。その関係で、毎日の様に新しい音源をゆっくり時間をかけて聞き込み仕入れを決めたりそのイメージを言葉に乗せたりしている。梅さんの格別の取り計らいで、とてもゆっくりとだけど仕事をさせて頂いている事に日々感謝しつつ、音の海に旅立てる事を素直に喜んでみたり。そんな中でであったのが、このアルバム”Slaphead Faun / Karsten Pflum”。所謂エレクトロニカなんだが、これがまた心地よい。美しい空間的な音の下に広がる、トリッキーな電子音。新しさと言う意味では、秀逸と言うべきではないが、その懐かしさと心地よさに関しては最近聞いた中でも抜きん出て良質な電子音楽だ。そう、音の砂浜で探し当てた「桜貝」は、まさにこのアルバムの事。美しいだけでなく、洒落の効いたポップ。ヨーロッパの薄曇りの空の下に広がる森の中で広がる、少しグレイッシュながら柔らかなトーンで描かれる優しい物語。そんな、『画【え】』が目の前に広がるこのアルバム。聞いてみないと損じゃない?個人的には、”Fy Darkspedter”が一番のお勧めかな。この霞がかった美しさは、大御所”Kim Cascone”にも通じる深く神秘的な世界。

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